夫が退職したことで、「健康保険証が使えなくなる」という事態に直面した。
子どももいる我が家にとって、医療費の不安は大きい。
この記事では、退職後の健康保険として「任意継続」を選んだ理由や国保との違い、保険料の金額の差を実体験をもとに書いている。
同じように退職や転職を考えている方にとって、きっと参考になる内容だと思います。
夫の退職で健康保険が切れる

夫が転職をしたいということで、会社を退職することになった。
もともと辞めたいんだろうなと感じていたし、いつか転職するであろう日に向けて多少のお金も貯めてきた。
だから退職すること自体に大きな不安はなかったが、今回一番気がかりだったのは「健康保険証が使えなくなる」という点だった。
これまで当たり前のように持っていた保険証が退職とともに失効する。
子どもが体調を崩したときのことを考えると、保険証がない状態は不安になってしまう。

保険証がなければ、病院にかかるのも全額自己負担だ。住んでいるのは子どもの医療費がかからない地域だが、その制度も確か「国保」か「社保」に加入している前提だったような気がする。
全額負担となったら金銭的にも精神的にも大きな負担だ。
保険証があるのが当たり前だったせいで、これまでよく調べもしなかった。知識不足が不安に拍車をかける。
私と夫は、すぐにインターネットで情報を調べ、
- 「国保に切り替える」
- 「会社の保険を任意で継続する」
という、2つの選択肢があることを見つけた。
見つけたというか、もともと、なんとなく存在だけを知っていたこの二つの制度。
調べてみて、けっこうな違いがあることがわかった。
国保?任意継続?迷った末に選んだのは…

まず考えたのは、役所で手続きすれば入れる「国民健康保険(国保)」だった。
しかし、想定外だったのがその保険料。
我が家の場合、なんと月に6万円以上かかる見込みで、家計的にかなりの負担になることがわかった。
この6万円は年額ではなく、1ヵ月あたりの金額だ。
退職したあとに払う金額としては、あまりに高い。
そこで次に検討したのが「任意継続」。
これは、夫がこれまで加入していた会社の健康保険を、退職後も最長2年間だけ継続できる制度。
加入には退職後20日以内の申請が必要だが、調べれば調べるほど、我が家に合っていると感じるようになった。
任意継続の保険料は、会社員時代に給料から天引きされていた金額の約2倍。
会社が負担していた分もすべて自己負担になるからだ。
それでも、国保よりは金額が抑えられる。任意継続の場合、国保の約半額くらいで済む計算だ。
病院での窓口負担も現役と同じ3割のままという点が決め手となり、任意継続をすることになった。
任意継続の保険料は意外と高い?でもお得な理由

「倍の保険料」と聞くとインパクトは大きいが、仕組みを知れば納得できる。
これまでは会社が半分を負担してくれていたが、退職後はその分も自分で払う形になるのだ。
全額自己負担になるため、実際に支払う保険料の額は確かに上がる。
それでも国保と比べるとかなり割安だし、しかも、保険証の効力がそのまま継続するため、医療費の負担が大きく増えることもない。
さらに、もうひとつありがたいのが、「保険料はあとから支払う」ことができた点だ。
あとから請求書が自宅に送られてくるので、それで支払いをすれば良いらしい。
任意継続の申し込みから実際の納付までには少し時間差があり、その間も病院への受診は可能とのこと。
急な支出が続く退職直後には、非常に助かる制度だと思った。
任意継続について問い合わせたのは「協会けんぽ」

社保の任意継続についての問い合わせ先は、勤めていた会社ではなく協会けんぽだった。
社保の保険証を見ると、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」「健康保険組合(組合健保)」の記載があるはずだ。
うちの保険証には、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と書いてあり、任意継続したい旨を伝えて手続きを進めることになった。
ちなみに、公的医療保険には「社保」のほかに、市町村と都道府県が運営する「国民健康保険」がある。
「国保」と言われるものだが、こちらの問い合わせは住んでいる各都道府県のウェブサイトに連絡先が載っているようだ。
無職期間があっても大丈夫だったワケ

夫は退職日まで有休消化をし、その間に次の仕事が決まった。
ただし、入社までは数週間の空白期間があり、一時的に“無職”となる状態だ。
この期間中、健康保険がどうなるのか不安だったが、任意継続によりその問題はクリアになった。
健康保険証自体は退職日に会社に返却する必要はあるが、病院ではマイナンバーカードを保険証として使えるらしい。
任意継続にすることで、退職から入社までの“隙間”を安心して過ごすことができた。
「仕事を辞めたらすぐに保険が切れる」という先入観があったが、実際は制度を知っていればちゃんと備えられるんだと実感した出来事だった。
子どもの通院にも影響なしでひと安心

子どもがいる家庭にとって、医療の問題は最優先事項だ。
熱が出たり、咳が止まらなかったり、ちょっとしたことで病院に駆け込むことは珍しくない。
任意継続のおかげで、退職後も子どもを安心して病院に連れて行くことができる。
しかも、自己負担額も3割のままだから、万が一のケガや病気のときも医療費の不安は依然と変わらずに済む。
制度を調べずに手続きが遅れていたら…と思うと、ぞっとする。
健康保険証があること。それだけで、普段通りの生活を保てる。
退職という変化の中で、家族の日常が守られたのは、本当にありがたいことだった。
(後日の追記)子どもの病院に行ってみた
この記事を書いて数日後、実際に病院に行ってみた。
その時の状況は以下の通り。
「資格情報のお知らせ」というのは、任意継続の資格取得手続きが終わったら自宅に届くものらしい。
つまり、病院を受診した時点では「何の保険もない」状況である。
この状況で、実際にどう支払ったのかを追記したいと思う。
なぜなら、聞いていたことと少し違ったからだ。
先に言っておくと、病院でも薬局でも同じ対応だった。
- 当日の診察代(お薬代)は、受診した日に10割で支払った
- 受付の人から、「もし同月内に「資格情報のお知らせ」が届いたら、病院で払い戻しできる」と言われた
- また、「月をまたいでしまうと病院では払い戻しできない。その時は、協会けんぽに申請して払い戻しを受けることになる」と言われた
同月内に、「資格情報のお知らせ」が届いた場合、病院(薬局)に行くときには
- 資格情報のお知らせ
- 支払ったときのクレジットカード
- 病院(薬局)でもらった領収書、診療明細書(調剤明細書)、クレジットカードの伝票控えなど一式
を持ってくるように言われた。
ちなみに「マイナ保険証でよい」とか「マイナ保険証があれば大丈夫ですよ」などと言われることはなかった。
時期的に当月中に「資格情報のお知らせ」が届くはずなので、今回の受診のケースだと、また病院に行って手続きをすることになる。
もし、何らかの理由で「資格情報のお知らせ」の到着が来月になるようなら、教会けんぽのサイトか電話にて、受診料(医療費)の払い戻しの申請方法を確認しようと思う。
地域や病院・薬局によって、また手続きの時期などによっては、一回全部支払う必要はなく、マイナ保険証を提示すれば済むケースもあるらしい。
今回は、私の伝え方が上手くなかったのか、病院や薬局のシステム上の理由なのかは分からないけれど、一回全額支払うことになった。
こんなケースもあるんだな、と参考にしていただけただと思います。
いま思えば、もう少し準備していれば…

結果としては健康保険から任意継続への切り替えも、次の仕事もスムーズに進んだので良かったのだが、正直なところ「もう少し準備しておけば」と思う点もある。
今回、夫は次の仕事が決まる前に退職したことで、いろいろと慌てて調べることになってしまった。
任意継続の制度を多少なりとも知っていて、ネットですぐに情報にたどり着けたからよかったものの、知らなければ高額な国保に加入していた可能性もある。
退職は感情的な面が大きい決断だ。
だが、ファイナンシャルプランナー3級程度の知識を持っておけば、せめて保険・手当・税金などの基本的な知識を事前に押さえておけば、もっと時間と気持ちに余裕をもつことができたはず。
「勉強しておくこと」これが、生活を守ることになるという大きな学びになった。
それでも、夫が退職してよかったと思える理由

それでも今回の退職は、夫にとって前向きな選択だった。結果的に家族にとっても良い決断をしてくれたと思っている。
夫が無理を重ねる前に、自分のタイミングで区切りをつけ、新しい環境へ踏み出す準備をし、退職を決断したこと、それ自体が大きな意味を持っているはずだ。
「心身の健康を守るための選択ができたこと」に満足感すら感じるほどである。
制度のことは後から学んでも、なんとかなるもの。
もちろん、準備しておくに越したことはないが、必要なときに調べ、手続きし、選択していっても大丈夫だと分かった。
今回の経験は、私たちにとって「焦らず向き合えば、ちゃんと乗り越えられる」という自信にもなった。
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